ここでは、喪失体験(グリーフ体験)をされた人の心や身体に起こり得る症状などについてお話したいと思います。
喪失体験とは
あなたは喪失体験(グリーフ体験)ときくと、どのようなイメージをされますか。
「大切な人やモノを亡くした」とイメージされるでしょうか。確かにそうですよね。
心に大きな悲嘆(ひたん)が生じて心の中で哀しみのガスが充満した風船が少し突かれただけでも破裂してしまう状態にあるわけです。そして、必ずしも相手が悪いわけではないのに理不尽な怒りを抱いたり相手にぶつけたりと突発的な言動や行動として現れることもあります。
ここで少し『哀しみ(グリーフ)を抱えた人』の視点を変えてイメージしてみましょう。
上記でも出てきましたが、喪失体験(グリーフ体験)とは「大切な人やモノを亡くした」ことでしたよね。これを、「自分自身(自己を失った体験」とイメージしてみてほしいのです。
どういうことかというと、『私』というのは、自分自身だけで作り上げたもの(作られている)ではないですよね。親、きょうだい、親族、友人、同僚など自分と携わりのある全ての人間関係や自分の置かれている環境などに影響されて作り上げられていると思います。
その『私』を作り上げている環境や人間関係を失うということは、自分を作り上げている身体の一部を失う経験をしているとも捉えることができるのではないでしょうか。
心や身体に起こり得る症状
「深い哀しみ(グリーフ)」と文字や言葉で表現すると淡々としていますが、実際の感情は言葉では言い表せない想像を絶するものであります。
そんな哀しみの中で起こり得る症状(私自身の体験も踏まえて)として、動悸、息切れ、免疫力の低下、頭痛、めまい、ふらつき、吐き気、過呼吸、手足のしびれ、ふるえ、不眠、過眠、拒食、過食、無感覚、各障害(記憶・嗅覚・味覚・聴覚・視覚)、アレルギー反応が強くなる、などが一部として挙げられます。
これらは普段、医療機関で多くの人が一度は経験したことがある問診票に記入する際の、ℚどのような症状で来院されましたか?というあれです。
何かの【病気】に罹患したときの症状として身近な症状ですよね。
病気との線引きはとても難しいところなので一概には言えませんが、あえてお伝えします。
「喪失体験(グリーフ体験)における心や身体にみられる症状は病気ではなく、むしろ正常な症状である」とされています。私たちは喪失体験をされている人の正常を異常(病気)にしてはいけないと思うのです。
この正常を守るためにもグリーフケアというものは存在しているのです。